利根川サイクリングロード その1

利根川は流域面積が16840km^2で日本一、その全長は322kmと日本で2番目の長さを誇る、日本を代表する河川の一つです。(成美堂出版社刊「なんでもひける日本地図。ISBN978-4-415-30594-3)

複数の地点で、それぞれほんのちょっとだけ走った事があります。これまで小貝川や鬼怒川沿いを走った事がありますが、利根川はその雄大さにおいて他の河川の比ではなく、是非一度走ってみたいと思っていました。

今回走行したのは、小貝川との合流地点から常陸利根川との合流地点までの左岸。大雑把に言って茨城県側になります。なぜ「大雑把に言って」なのかは後述しますね。

地図

小貝川との合流地点を出発

茨城県利根町にある、小貝川との合流地点付近。海まで78.75キロと書かれています。海まではまだまだ遠いですね。

小貝川との合流地点付近

ひたすら走り続ける

大規模自転車道を除けば、川沿いの道に休憩ポイントや観光名所なんてまず滅多にありませんからね。今回の旅はひたすら走り続ける旅になりそうです。

牛の群れ

利根町から河内町へ入ると、川原に放牧されている牛の群れが。昼間は川原の草を食べ、夕方になると堤防の反対側にある牛舎に帰っていきます。牛がCRを渡る地点では、路面に土がこびりついていました。河内町ではいくつかの地点でこんな光景が見られます。

牛の群れ

広い河川敷とゴルフ場

海まで67キロ近辺は河川敷が大きく広がり、その中にゴルフコースもあります。この地点では川面が見えない程、河川敷が広がっています。

ゴルフ場(写真右側)

稲敷市旧東町地区

その後いくつかの橋を越え、ひたすら走り続けます。

川沿いの道と言えば強い風。全体として西へと進む私の体に、けっこう強めの南風。加えて季節はGWの真っ只中。暑すぎず・寒すぎず、からっとした天候。さほど水分を必要とせず、結果、トイレの必要性もなかったので、ひたすら走り続けました。でも、さすがに足が疲れてきました。お腹も減ったし。

そんな事を考えていると、遠くに稲敷市の旧東町地区の街並みが見えてきました。そちらに寄り道して休もうかなぁ、と思った途端、天の助けが。

大利根東公園

今回のコース上にある、唯一の休憩ポイントです。トイレもベンチもあるし、ここで補給しつつ暫く休む事に。

公園からの利根川の眺め

出発して暫く走ると、海まで40キロの標識を確認。少しずつではありますが、確実に海に近づいているのですね。

水郷大橋付近

気がつけば千葉県

水郷大橋の手前で川沿いのサイクリングロードは一旦途絶えます。すぐ側にある県道11号線に入り、水郷大橋を渡る付近で気づいたのですが、この先も茨城県稲敷市だと思っていたのですが、実際には千葉県香取市に移動する事になります。

ここからは千葉県香取市

千葉県と茨城県を分けるもの

自分のイメージの中では、利根川の下流域は茨城県と千葉県の間を流れていると思っていました。即ち、下流域において利根川の左岸(北側)は茨城県、右岸(南側)は千葉県と。本州地域に於いて、県境とは大抵の場合川によって隔たれていますから。その認識は大雑把に言えばそれは間違いではないのですが、しかし。

私はこれまで利根川の左岸を走っていましたし、これからもそうです。でも、ここから先は左岸であるにも係わらず、千葉県香取市になるのです。

ちょっと面食らいましたが、ここで私はある仮説を立てて、勝手に納得しました。それは・・・利根川というのは、相当な暴れ川=蛇行を繰返す河川だったのではないかと。

それ故に治水が繰り返された結果、このような飛び地ができたのではないかと。実際のところ、利根川右岸沿いに我孫子市を走っていると、突然取手市に入ってしまったという経験があります。

治水と飛び地

と言ってもなんの事だか分からない方も多いでしょうから、あくまで一般論としての治水と飛び地の話をしようと思います。

ある川はA県とB県との間を流れる河川でしたが、蛇行していました。ある川の北側はA県、南側はB県に属していました。河川が県境というのは珍しくもありませんよね。

 Fig.1 治水前の県境

ところで、この河川は蛇行しているがために、度々洪水を引き起こしました。そこで洪水対策として、この河川をできるだけ真っ直ぐにして洪水の発生を抑えようと、治水事業を行いました。すると、この河川はほぼ真っ直ぐに進むようになり、洪水は減りました。

 Fig.2 治水後の県境

するとどうでしょう?

治水前は川の左岸は全てA県だったのに、左岸にB県の敷地が発生します。同様に、川の右岸にA県の敷地が発生します。このようにして、川沿い地区での飛び地が発生するのですね。

香取市がどうだったかはわかりませんが、利根川のような暴れ川の流域にはこんな飛び地がいくつか見られます。

やっぱり、地図で大雑把に見るだけではなかなか分からない事ってたくさんあるなぁ。だからこそ自転車で訪れる価値というものがあるんだな。そんな事を考えながらひた走ります。

豊かな自然

利根川もこの辺りまで来ると自然の色が濃くなって、河川敷は草木が生い茂った自然なままの姿になります。あらゆる生き物に必要な水(利根川)と、餌である魚、そして住処である草木がふんだんにあるため、ここは鳥の楽園になっていました。

ホー・ホケキョ、クェー・クェー、チッチッチッチ、ピッピッピッピ・・・etc.

利根川がこんなにも自然豊かな土地である事を実感できるのは、自転車やら歩行者の特権ですね。堤防沿いの側道を走っていたのでは、それは無理な話です。

自然の色濃い利根川の河川敷

常陸利根川に最接近

私は利根川左岸を下流方向に向けて走っています。つまり、利根川は常に自分の右手に見えています。

やがて、左手にも川が見えてきました。これが、常陸利根川(常陸川)です。

常陸利根川

利根川CRと最も接近している箇所では、常陸利根川はほんの数十メートルの距離にあります。いよいよ利根川と常陸利根川の合流地点も近いか?と思っていましたが、やがて常陸利根川は離れていってしまいました。ゴール地点までまだ少しありそうです。

そしてゴール

海まで19キロ地点。今日のゴール地点である利根川大橋が見えてきました。

少し走ると利根川CR(左岸)の終点です。一般道を走り、利根川大橋と繋がっている常陸川大橋を渡り、常陸利根川の終わりの地点までたどり着きました。

常陸利根川

そして常陸利根川と利根川の合流地点を確認。これにて本日の旅は終了です。

常陸利根川と利根川の合流地点

感想

とにかくひたすら走り続けたなぁ、というのが第一印象です。

今回の区間は川沿いに街の気配がない事や休憩所が1箇所しかない事もあり、休みたくても休めなかったというのが実際のところですが。

加えてこの日はそれ相応の横風+微妙な向かい風だった事もあり、普段よりギアを2段程度以上(アウター5・6速→センター5速)軽くしての走行を余儀なくされました。速度で言えば普段は時速25キロ〜30キロ程度のところが、20キロ〜22キロ程度。

更に、利根川CRは一時停止の必要のあるポイント(橋)間の距離がとてつもなく長いため、加減速が最小限で住みました。

それ故に、あまり疲労や休む必要もなく走り続ける事ができ、その結果として自分の予想以上のペースで走る続ける事ができたのですね。

改めて実感。長距離を走る時は普段よりもギアを1〜2段軽くして、ゆっくりと走るべし。結果として普段以上に遠くまで走れるでしょう。


庶民チャリダー

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