砂沼と小貝川と 〜 その2

帰り道は行きの対岸、即ち、小貝川の左岸を通ります。

ルートはこちら

祝橋 〜 愛国橋

こちらも歩行者・自転車専用道。冬のこの時季は歩行者も自転車も通りません。全面舗装されていて、快適な走りを楽しむ事ができました。

愛国橋左岸 〜 行き止まり

愛国橋の下流からは、車も通る一般道になります。しかし、暫く走っていたら、舗装が途絶えてしまいました。

舗装が途絶えてダートへ

諦めて来た道を引き返した途端、後輪が「ガタガタ」と音を立てます。パンクでした。

初めてのパンク

サイクリングを初めて以来、初めてのパンクです。

まずは携帯ポンプで空気を入れてみます。すると、「プシュー」と大きな音を立てて空気が抜けていくのが分かりました。

パンクの修理やら対処やらは初めてですが、断片的な知識を総動員して、チューブ交換の始まりです。

まずは、後輪を外します。次にタイヤレバーを使って、タイヤの部分を外します。そして、どうにかこうにかタイヤとチューブを無事取り外しました。

取り出したチューブに空気を入れてみると、肉眼でもはっきり分かる程の穴が。暗くなるまで時間もないので、チューブの補修は諦め、チューブごと交換する事に。

そして、パンクの原因をタイヤ側で探ります。注意深くみてみると、小さなガラスの破片がタイヤに食い込んでいました。これではどうにもなりません。まずは、ガラスの破片を取り除きました。

そんな作業を行っていると、舗装路の終わり付近に一台の車が止まりました。乗っていた年配の方が、「パンク?」と聞いてきます。そうですと告げると、「そうか。道具持っているのか」と言いながら、歩いてどこかへ去って行きました。

いろいろ試行錯誤しながら、チューブ交換も終わり、残りはタイヤをはめるだけ。しかし簡単だと思っていた後輪の装着はなかなかうまくいきませんでした。前輪の方はショップで購入時に着脱の練習をさせてもらい、取りつけも簡単でした。

しかし後輪にはチェーンをかけなければいけないのと、スタンドを取りつけたせいで、なかなかうまくいきません。どうやってもブレーキを締めつける位置に取りつける事ができないのです。

すんなりといけば何てことないはずなのですが。しかし、思ったようにいかないから、あれこれ余計な事を考えて試行錯誤を繰り返します。外した時が簡単だったのですから、装着も簡単なはずなんです。でも、そこが初心者の悲しさ。

一番手間がかかるはずのチューブ交換にかかった何倍もの時間が、後輪を取りつけるだけの作業に費やされていきます。

辺りはだんだんと暗くなり、気温も下がってきます。あせってパニックするような年ではありませんが、最悪の事も考えました。タクシーを呼び、自転車ごと帰宅するという手も。

そんな風に四苦八苦していると、どこかへ行った年配の方が車に戻ってきました。「パンクはどうだい?」

「パンクの修理はすぐに済んだのですが、タイヤをはめるという作業がなかなかうまくいかなくて。。。」と答えると、心配気にこちらの作業の様子を見守ってくれます。

暫くするとその方は「そういう時は自転車を逆さまに置くと言いよ。いやいや、舗装のところじゃ傷がつくだろう?舗装路脇の草むらのところで逆さまにするのさ」と、アドバイスをくれました。

言われた通りに自転車を逆さに(サドル側を下に)して作業すると、驚く程作業が楽になりました。ただ、スタンドをちょうどよい角度にと気にしながら作業を続けると、そう簡単には行きません。

そんな様子を見かねたのか、その方は「家はどこ?つくば市内か。つくばのどの辺?駅の近くね。それじゃ、車で送って行ってあげるよ」と親切なお言葉。

「ありがとうございます。でも、もう少しでなんとかなりそうです」と言った途端、後輪がすんなりと入りました。ブレーキも問題なく締めつけられそうです。

「ありがとうございます。とってもよいアドバイスをいただきました」とまずはお礼。

そして自転車を起こして走らせてみると、ブレーキも変速機も全く問題なし。

聞けばこの方、息子さんがスポーツバイクに乗っており、家での作業を何度もみたり、時には手伝ったりする事もあるそうです。だから自転車の取り扱いには慣れていたのですね。そして、自分の息子さんの姿をみているだけに、同じ自転車乗りの私の事を放ってはおけなかったのでしょう。本当にありがたい事です。

私の自転車が無事なのを見て、「とてもよい経験をしたね」と言いながらそのお方は帰っていきました。

私は何度も何度もおじぎをしながら、彼を見送りました。

夜道の走行

自転車が復活した時には日もとっぷりと暮れ、夜道の走行となりました。

夜道走行も以前は苦手だったのですが、今はいろんな経験を積んだのと、色々なものを大きなリュックに入れているので、それほどの苦手意識はありません。厚手の手袋と、明るいライトが2つ、チカチカ光るテールランプ、上下のウインドブレーカー。

一旦上流に戻り、愛国橋を渡って右岸へ。再び小貝川沿いを下ります。

対岸に渡った頃には、辺りも真っ暗。残念ながら道の様子や景色をレポートする事はできません。

パンクは自転車にはつきものだから、それは気にならないけど。ただ、景色を堪能できないのだけが残念だなぁ。。。

と思いながら自転車を走らせると、進行方向右側に大きな山のシルエットが見えます。

この時ばかりはパニックしました。この辺りで大きな山は筑波山だけ。でも、私は筑波山を左方向に背にしながら走っているはずなのです。まさか、道を間違えた?しかし、山の形をみると筑波山とは明らかに違います。

そう、その大きな山は富士山でした。夕焼けの中にくっきりと浮かぶ富士山のシルエット。

富士山のシルエット(クリックすると拡大します)

筑波山からも年に数回だけ、この光景を見ることができるとTV番組で見た事があります。

まさかそのわずかなチャンスを今自分がものにしているなんて。感動です。

この時ばかりは、「パンクしてよかったぁ&自分が不慣れで作業に時間がかかってよかったぁ」と思いました。

パンクしなければ、あるいは、すぐに作業が終わっていれば、けしてこの幻想的な景色を見ることはできなかったのですから。


庶民チャリダー

inserted by FC2 system