岬巡りの自転車は走る 〜 いわき編

茨城北部〜いわきの海岸通り

※この記事は2010年8月の出来事を記載しています。

茨城北部編の続きです。

勿来

勿来は手元の地図によりますと、勿来関(なこそのせき)が有名のようです。

が、私の頭の中は海一色。特に海水浴場で泳いでいる人が羨ましくて羨ましくて。今日は時間に余裕ががたっぷりある(一日で高々60キロ程度の移動距離)ため、「いっそ、このまま海に入ってしまおうか?」と悩む事しばし。

海パンは持って来ていません。が、リュックの肩ひもやら黒いレーパンには無数の白い粉が・・・はい、勿論汗が蒸発して塩が固まったものです。私の体に比べれば海水の方がよっぽど真水に近くて綺麗なワケで。勿論、私は全身汗まみれなワケで(^_^;・・・レーパン・サイクルジャージごと海に入ってからシャワーを浴びれば、今よりはよっぽど清潔なワケで(^_^;

もう少しで海に飛び込んでしまいそうでしたが、自重しました。それは、水着ギャルがほとんどいなかったから自分があまり目立つ事(というか異様な光景かと(^_^;)をしてしまうと、他の真面目な自転車乗りの方に迷惑が及ぶかも?と思ったからです。それにどうせ飛び込むんだったら、やっぱり五浦みたいな岩場の方が楽しいし・・・あわわわわ。そんな事をしてはいけません。

 勿来の海水浴場

いわきサンマリーナ

国道6号線を走る事しばし。いつの間にか海岸から遠ざかっている事に気づいて、福島県道239号線にそれました。やがて「いわきサンマリーナ」の案内板を数カ所で確認。観光地のようですので案内板に従ってそちらの方面へ。

海方面への道は結構な坂道。重たいリュックを背負っている身にはかな〜り堪えました。この県道自体も海寄り(岬寄り)を走っているため、すでにそれなりの登りと下りがあったわけで。マリーナへ行くためには更なる登り道。「今は坂道を登っているけど、マリーナって言うくらいだから最後は下って海岸なんだよなぁ。それでマリーナにたどり着いたら、今度は下った道をまた上ってこなきゃいけないんだよなぁ。それなりに大変な道をなんとか登ってきたのに、なんで更に大変な思いをしなきゃいけないんだ?暑いし、高度差を考えたら無駄だから、いっそそこへ行くのはやめちゃおうか?」とさえ思った程。(暑さと重たい荷物でかなりマイナス思考になってます)

でも、「マリーナ」というなんともお洒落な言葉が私を勇気づけます。程なく登りは終わり、やがて下りへ。するとそこには絶景が待ち受けていました。

いわきサンマリーナ

写真中央部分は海水浴場、右手はその名の通りマリーナ(ボートなどの停泊場)、そして左手にある桟橋は釣り人の為のもののようです。

一方、正面をを見やりますと、これまた絶景が。

正面の建物は小名浜オーシャンホテル

諦めずに登ってきてよかった〜!と思った瞬間でした。思えばこれまでも「苦労して登った先には必ずや絶景が待ち受けている」、と信じて、絶対に諦める事なく坂道を登り続けたんだったよなぁ。初心忘るるべからずだね。

ここでも海に入りたい気持ちいっぱいだったのですが、足を洗ってもそこいら中に泥水(砂水?)が溢れているため、靴を汚さずに済みそうもく、泣く泣く断念しました。

さすがに疲れと暑さバテを実感していましたので、水分をたっぷりと補給して元の道へ引き返します。こちらへ来る時は結構な急坂でしたが、帰りは一部激坂でした。まぁ、覚悟の上でここまで来たんだからしょうがないよね。

小名浜港港

再び海岸沿いの道に戻って走っていると、「小名浜港」の案内板が見えてきました。右折して港の方へ進みます。今日のホテルは小名浜港のすぐ側。つまり、もうすぐ今日のゴール地点です。

小名浜港の中には有名な水族館「アクアマリンふくしま」もあり、その独特の姿形がまもなく見えてくるはずです。まもなく見えてくるはずです・・・・って、あれぇ?それらしき建物は一向に見当たらないなぁ?案内板によりますともう少し先との事。それではと自転車をひた走らせますが、やっぱりそれらしき姿を確認する事はできず。

後になってわかったのですが、小名浜港には第1埠頭から第7埠頭、加えて藤原埠頭、大剣埠頭と、九つもの埠頭があると〜っても大きな港だったのです。道理で同じ港の中にいるのになかなかたどり着けない訳だ。結構な距離がありますが、片側3車線の広い道を走るのは本当に気持ちがよかった。

そんなこんなでどうにかアクアマリンふくしまの側に到着。なんとも美しい建物です。そして埠頭には海上保安庁の巡視艇が係留されており、まさに絵になる光景。

 アクアマリンふくしま

すぐ側には観光物産センター「いわきら・ら・ミュウ」があります。中には魚市場やレストランなどが入っているようです。お盆の時期とあって大勢の人で賑わっていました。

いわきら・ら・ミュウ

こういった、賑やかで華やいでいて、それでいてあんまりごちゃごちゃしていない場所っていいよなぁ。私にとって、いわきと言えば「ハワイアンズ」(旧名称常磐ハワイアンセンター)くらいしかイメージがなかったのですが、こんなに素晴らしい観光地があるとは。やはり旅はしてみるものですね。

さて、今日の旅はここまで。まずはホテルでお洗濯しなきゃ。

三崎公園といわきマリンタワー

次なる目的地は三崎といわきマリンタワー。小名浜港から岬の上にたつタワーが見えたのでそちらを目指す事に。いわきの観光についての予備知識は何もありませんでしたが、このタワー、そしてアクアマリンふくしま、いわきら・ら・ミュウ、そしてこの後に訪れる塩屋埼灯台はいたるところに案内板があり、否が応でもこれらが観光地である事がよく分かります。

さて、海岸沿いを走り、三崎の岬(ややこしい)を登って行くとそのタワーがありました。脇目も振らずに真下まで行ってしまったので(結構坂がきつかった)、イマイチよい写真がありません。外観はWebサイトでご覧ください。

営業開始時刻の午前9時まで間がありましたが、ご好意で早めに中に入れて貰えました。入場券を購入して早速タワーの最上部へと登ります。エレベータを降りて、さらに階段を登るとそこは屋外。タワーの一番高い場所。視界を遮るものがありませんから、文字通り360度のパノラマ。

 小名浜港。中央はアクアマリンふくしま。

 三崎公園

太平洋の眺め

広い広い公園にはたくさんの施設があり、1日中楽しめそうです。

さて、次なる目的地を目指して出発。登りは結構大変でしたが、その分豪快なダウンヒルを楽しみながら海沿いの道を目指します。

たくさんの海水浴場

海沿いの道を走っているといくつかの海水浴場がありました。勿来から数えてみるとすでに5つ目。いわき市の海岸の半分も走っていないのにこの数ですから、いかに海水浴場が多いか分かります。その分、海水浴客が分散しているのか、どの海水浴場もゆったりとした印象を受けました。

茨城の場合は大洗サンビーチと阿字ヶ浦に2極集中しているため、ものスゴイ人口密度。しかも、県内はもとより埼玉や栃木、遠くは群馬からも大勢の人が押し寄せます。例えば波乗り遊びをしていると他人とぶつかってしまう事もしばしば。

泳ぎを楽しむんだったら、こういうところがいいよね〜。

海水浴場(名称不明)

塩屋埼灯台

海沿いの道を走る事しばし。やがて岬の上にそびえ立つ灯台を発見。道は海からそれて登りになります。灯台っていうのは岬の上に建っているのだから、登りは当たり前。こちらも結構な急坂でしたが、灯台の麓に辿りつけるならと、頑張ってペダルを漕ぎます。

が、しかし。道はやがて下りへ。んん〜?これは一体全体どういう事だろう?確かに灯台は岬の上に建っていたのだけれども?そうこうしていると海岸に到着してしまいました。そしてふと上を見やると岬の先端には確かに灯台が。そしてその灯台へは階段で登るしかなかったのです。

 塩屋埼灯台

う〜ん、かなりショック。自転車で灯台の麓まで行けると勝手に思い込んでいただけに、歩いて登るしかないとなると途端に戦意喪失。すでにマリンタワーで眺望は堪能しているので、灯台へ行くのは止めにしました。

故美空ひばりさんと塩屋埼灯台

灯台の登り口には故美空ひばりさんの像と歌碑が建てられていました。案内板によりますと、「みだれ髪」と「塩屋埼」が縁となってこれらが建てられたそうです。

永遠の美空ひばり像

みだれ髪の歌碑

故美空ひばりさん縁の地として、大勢のファンが訪れるのだそうです。

薄磯の海岸

岬のすぐ側には薄磯の海岸が広がっており海水浴客が泳ぎを楽しんでいました。

薄磯の海水浴場

今回の旅はこれにて終了

薄磯から更に北を目指して走りましたが、福島県道382号線は海沿いからやや離れているため、ほとんど海の姿を拝む事ができなくなってしまいました。そのため適当なところでやや内陸寄りのJRいわき駅前を通り、アップダウンやらトンネルもある国道49号線や6号線を経由して小名浜へと戻ってきました。

感想

あまりの猛暑に、ただただ涼しいところで走りたいという理由だけで始めた今回の旅。涼しいのは勿論の事、岬が連続する茨城北部〜いわきの海岸沿いは見所や絶景も多くあり、これは嬉しい誤算でした。涼しい場所を走る事だけが目的だったから、なんの予備知識もなく。それ故に嬉しさも倍増です。

もしこれが同じ海でも、平坦な海岸線の側を延々と走るだけだったら、きっと退屈していたのでは?と思います。ところどころで岬があったがため、景色の変化と高低差の変化、そしてなによりも絶景を楽しめた事が、生憎の曇り空や小雨のぱらつく雨天であったにも関わらず、楽しい思い出しか残っていない理由なんでしょうね。

今回の旅で学んだこと。海沿いの道を走るのは楽しいし涼しい。岬があれば尚の事楽しい。

そう言えば日本には岬が続く有名な場所がありましたね。茨城よりも福島よりも北にあり、海岸線の険しさもその比ではないところが。いつか訪れてみたいなぁ。三陸海岸。

おまけ

今回は時間に余裕を持たせたので、ちょっとだけ観光してきました。ここでご紹介。

いわき名物「メヒカリ」

いわき市の魚になっているメヒカリ。正式名称は「マルアオメエソ」というそうです。メヒカリという呼び名は目が青く光って見える事が由来だとか。天ぷらや唐揚げが一般的な食べ方のようですが、せっかくの産地なので、私は生でいただきました。白身の魚で脂がたっぷり乗っています。

市場食堂

市営小名浜魚市場の前を通りかかると、食堂の案内と一般の方も利用できますみたいな看板がありました。文字通り市場にある食堂で、「市場食堂」という名前の食堂です。お昼時に立ち寄ってみますと、大勢の観光客で賑わっていました。接客態度にやや難有りですが、新鮮な魚介類は本当に美味しかったです。

私は海鮮丼を頼みました。他のお客さんが「海鮮丼はご飯は別売なのですか?」と店員に質問していました。どういう事かと言いますと、丼というよりはお皿に近い面積の丼の中に、ご飯が見えない程具材が乗っているからです。

アクアマリンふくしま

美しい建物の景観もさる事ながら、その本当の良さはその展示内容にあります。水族館というよりは海洋科学博物館と言った方が適切な表現では?と思います。

入り口から入るとまず化石の展示から始まります。海の生命の、言い換えれば地球の生命の進化から。なんともアカデミックな香りがたっぷりです。続く「ふくしまの川と沿岸では、遊水地から渓流、中流、河口、沿岸と、生息地域ごとに水に棲む生物が展示されていると言った具合。川の魚をここまで詳しく展示している水族館は始めてです。

ここが有名になっている一番の理由は、海岸に設けられたゾーンで実際に魚に触れるという事です。だから私もテレビでその存在はよく知っていました。

いるかのショーなどとは無縁ですが、それ故に大勢の大人たちが真剣に水槽の中の生物に見入っている姿が印象的でした。

詳しくはWebサイトをご覧ください。


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庶民チャリダー

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