野川サイクリング

水を求めて武蔵野〜自転車編

およそ10年前。東京都の武蔵野地区にはいくつもの湧水があるとTVで知り、電車・バス・徒歩で川の始まり巡りの旅をしました。

ひと通りの満足と目的達成を感じた私は、以来、水巡りの為にこの地を訪れる事はありませんでした。

時は流れ、趣味として自転車に乗るようになって思い続けていた事があります。もしあの時自転車があれば、あの旅はもっと効率よく行う事ができ、かつ、行きたくてもなかなか行けなかった様々な場所を巡る事ができたのでは?特に野川は断片的にしかその姿を見ることができていませんでした。ならば自転車を手にいれた今こそ野川へ行こう!

野川と多摩川

野川は国分寺市内にある日立製作所中央研究所内にあるいくつかの湧水を源流とし、小金井市・調布市・三鷹市・狛江市を流れ、世田谷区で多摩川に合流する一級河川です。

この川は最初から最後まで大都市部しか流れていないにもかかわらず、まるで山間の清流のような趣があります。

一方、かつては「死の川」と呼ばれていた多摩川も、今では天然鮎が生息するほどの清流に戻りました。多摩川に流れこむ大小様々の河川(その中には野川も含まれます)から、生活排水を徹底的に排除した事が功を奏して今の姿になった(本来の姿に戻った)のだとか。

このような「奇跡の光景」が見られるのも、流域の自治体やそこに住む方々の並々ならぬ努力、あるいは、都会人であるからこそ自然を大切に育もうという意識の高さがあったればこそだと思います。

二子玉川駅周辺

その野川が多摩川へと流れこむのが、東急線二子玉川駅のすぐ近く。というワケで本日はこの駅まで輪行。

それにしても。折り畳み自転車ならいざ知らず、クロスバイクを担いでここまで来る人間はまず滅多にいないだろうと思っていました。が、電車を降りるとロード用輪行バッグを担いだ人が。そうえいば多摩川には有名なサイクリングロードがありました。拠点のひとつになっているのでしょうね。

野川巡りをする前に、その合流地点を見てきました。次の写真は望遠で撮影したもの。合流地点を近に見るためには靴を脱いで川の中へ入る必要がありそうです。綺麗な川ですからそれも不可能ではないのですが、今回は見送りました。というのも、実は数年前の夏、わざわざここへ水遊びをしにきた事があったのです。

野川(手前)と多摩川(奥)の合流地点

今回のルートはGoogle地図で

今回のルート(二子多摩川駅〜国分寺駅)です。是非ストリートビューで沿道の景色を堪能ください(地図上の人の形のアイコンをドラッグ&ドロップ)。

なんと遊歩道が

さて、野川の堤防沿いに道を遡っていくと、程なく遊歩道が出現しました。なんら予備知識のない今回の旅故、地図を片手に一般道を走行するつもりでおりました。ですからこれは嬉しい誤算です。参考の為にその場所の写真を掲載しておきますね。(ストリートビューを使えば駅から擬似的に「歩いて」ここまでの道順を確認できますよ!)

遊歩道入口。左は玉堤通り(都道11号線)。奥二子玉川駅。

少し走ると仙川との合流地点に到達。段差がある川の合流地点というのは初めてみました。なんだかとっても気になるのですが、今回は野川が主役ですからここはスルー。

仙川との合流地点

豊かな自然と清流

川面を眺めながら走っていると白い鳥を発見。なんと、白鷺です。茨城の田んぼではよくみかけますが・・・でもここは大都会の世田谷区です。かなり驚きました。

餌を探す白鷺

更に走ると今度はカルガモを発見。。

カルガモ

カルガモと白鷺は野川のあちこちで見かけました。バードウォッチングの集団もいた程です。水が綺麗だからこそ魚が住み、それを餌とする鳥が集まってくるのですね。

初夏の香りを満喫

今日は5月4日。あちこちで花をみかけました。

藤棚

何かの黄色い花と白鷺

ツツジ(サツキツヅジ)と思われる

人々の憩いの場

野川はいつでもどこでも綺麗であり、静かです。ですから大勢の人達が散歩したり川遊びをしていました。

川遊びをする親子(の親の方しか写っていませんが)

川沿いを歩く家族

深大寺蕎麦が食べたい

午後一時を回って来たところでお腹が「ぐうぐう」。ふと交差する道路を見ると、これまでとは比較にならない程の沢山の車が通り過ぎます。ムム、これはきっと三鷹通りに違いないと、天性の山勘でそのように判断。進行方向から右折して深大寺を目指します。

まぁ、こんなところがポタリングの醍醐味と言いますか。勘違い・間違いでも一向に構わないワケで。

人間、お腹がすき過ぎて&美味しいものを食べたいという欲求があると、途端に神経が研ぎ澄まされるようです。土地勘も何もないこの土地での単なる思い込みに過ぎないのですが、なんとまぁ、山勘の通りに深大寺までたどり着きました。

名物の蕎麦と、本場フランスの方が作るガレット(蕎麦粉のクレープ。というか、正しくは、元々は蕎麦粉で作っていたものを小麦粉に置き換えて作ったのがクレープなんですけどね)を食べようと意気込んでいたのですが。しかし・・・

この物凄い人手。立錐の余地もないとはまさにこの事か。

深大寺境内。左手前の店は鬼太郎茶屋

震災による電力不足や自粛モード、加えて昨年のゲゲゲの女房ブーム。物凄い人手でした。さすがにこれでは自転車を押して進むのも無理。お昼は別の場所で取る事にしました。

野川サイクリングロード

野川の両岸には遊歩道があります。歩行者、シティサイクル、クロスバイク、MTB、フォールディングバイクは勿論の事、ロード車で走る人も一組ではありますが見かけました。

川沿いの遊歩道という事から地図では「野川サイクリングロード」などと表記されていたりしますが。しかしながら野川は大都会を流れる川。すぐに交差する道路に出くわします。そして、そこでは必ずと言っていいほど車止めがあります。

車止め(武蔵境通りとの交差点にて)

そういった道ですから所謂サイクリングロード並の速度で走るのは非常識ですし、そんな不思議な事をしている輩は人や自転車を縫うように走っていたクロスバイクの二人組くらいでした。

ここでは人も自転車もそして時も、野川と同じようにゆっくりと流れます。

野川公園

武蔵境通りとの交差点を過ぎると程なく緑濃い場所に到着。多分、ここが野川公園だと思って中に入ってみると登ると、やはり野川公園でした。GWのよく晴れたこの日、大勢の家族連れで賑わっていました。私も走り通しだったので、水分補給しつつ、暫しの休憩です。

 家族連れで賑わう野川公園

野川はこの公園の中を流れています。川の中ではたくさんの家族が水と戯れていました。

水遊びをする人々

木々と花の宝庫でもあります。

ハナミズキとサツキ

ここは東京都府中市です。

野川自然観察園

公園内では川沿いの舗装も途切れ、このコースでは唯一のダートになります。しかし、ロード以外の自転車にとってダートは走行上なんら問題がありません。実に大勢の自転車が行き交います。

しばらくダートを走っていると、野川自然観察公園なるものを発見しました。10年前に歩いて訪れた時にはここは気づいていないし、仮に気づいたとしても時間の関係で見学する事はできなかったでしょう。

でも、今日は自転車で来ていますから時間には余裕があります。中へ入ってみる事にしました。

そこは動植物の宝庫でした。

サクラソウ(かな?)

湧水が作る沢

名称不明の黄色い花

蛍(生まれてこのかた見たことなし)を育てているらしい

お腹が減った&幻覚が・・・(?)

野川公園を後にして野川沿い暫くを走っていると、「もりそば」という文字が見えたような気がしました。時刻は午後2時半。お腹が空きすぎたのと、深大寺で盛蕎麦を食べられなかったショックで「盛蕎麦」という幻覚をみているようです。

これはいかん。どこかで食料補給しないとどんどん幻覚が進んでしまう。野川沿いのこんなところで「盛蕎麦」のお店があるわけがない。あるわけがない、盛蕎麦のお店なんて。

盛蕎麦なんて。盛蕎麦・・・・・んん〜?盛蕎麦じゃなくて「もりそば???」ふと看板を見やると「小金井大勝軒」と書かれていました。

おお、これは幻覚でもなんでもなく、文字通りの「もりそば」なのだと気づきました。早い話が大勝軒名物のもりそば(世間一般にはつけめん)なのだと理解しました。これは天の助け。早速お店に入り、お腹が空いていたので大盛り券を追加しました。

しかし・・・ここでの大盛り券は世間一般の大盛り x2 だとは露知らず・・・麺はかなり残しました(T_T)。

本日2回目の迂回

小金井大勝軒を後にしてしばらく走っていると本日2回目の迂回ポイントに出くわしました(最初は前原小学校)。鞍尾根橋です。

鞍尾根橋

純粋に野川側道を旅している方だったら、ここで終りにするのもよいかもしれません。何しろこれ以降は一般道を迂回しない限り野川を見るのは難しくなっていきますから。

国分寺市内の野川

以降、つかず・離れずに道を走りながら、野川沿いを探します。しかし、この辺り(国分寺市内)では川の周りに家やアパートが立ち並び、野川を眺めながらの旅は困難になっていきます。

国分寺市内の野川

野川を見つける方法

一般道を迂回しながら野川を追い求める旅。土地勘が全くない私は当初、野川探しに翻弄されていました。しかし、ある事に気づき、以降は簡単に野川を見つける事ができました。その「ある事」とは・・・・

そんなワケで、両側が崖であるこの土地の特徴を見極めつつ、どうにかこうにか野川を追い続ける事ができました。

旅の終わり

さてさて、そんな風にどうにか野川を見失わずに走行していましたが、突然、その道は行き止まりになっていました。

行き止まり地点

あれれ?自分の天性の山勘も、やはり間違いがあったのかな?と思い直しました。これぞ野川と信じて走り続けていましたが、この辺りでは川面も見えず、本当に野川沿いだったのか、はたまた都市部を流れる一般的な川だったのか?は確証が持てません。

一旦引き返して出直そうと思って自転車の向きを変えたところ・・・電車の音がしました。振り返って見てみると、先の写真の真中上方(屋根の上)を電車が通過していきました。

写真ではちょっと分かりにくいかもしれませんが、ここは野川とJR中央線が交差する場所だったのです。という事は、これ以上進むのは無理(日立製作所の敷地内になるから)。

その場所の地図

分かっていたこととは言え、ちょっと残念&心残りです。が、これ以上川を遡れない事は分かっていたワケですから、そのまま川沿いの道を探しつつ、下流方向へ戻りながら野川を探しました。

確認できる野川の最上流地点

 多分最も上流にあるであろう野川の案内板

 最上流の橋は、「押切橋」らしい

野川サイクリングもここまでかと、ちょっと残念な気持ちと鑑賞にひたりながら野川を見ていると。ワンちゃんをお散歩されていた年配のご婦人が警戒の表情を浮かべながら私を見ています。

まぁ、それも無理からぬ事かと。何しろ私はヘルメットにサングラス、それにマスク(花粉症対策)で完全防備していましたからね。

自転車が多く通り過ぎる箇所ならともかく、こんな住宅街の中まで野川を追い求めて走っているのは私だけ。誰が見たって怪しいヤツだったに違いありません(爆)。

感想など

水と自然と緑の色濃いサイクリングコースでした。美しい水とそれに伴う自然を見たければ、まずは「武蔵野」へ行こうと、改めて実感した次第です。

大都会故、人も自転車も交差する道路も多く、そのためおよそ走りを楽しむコースとは全くの正反対な道ではありました。実際のところ、あちこちで見学・写真撮影したせいもあり、寄り道やら食事休憩を除いてたとしても、わずか20キロの道を走破するのに実質3時間もの時間がかかりましたから。

これが仮に茨城のマイナーな県道や農道を乗り継いでいたのだとすれば、ゆっくり走っても高々1時間で走破できる距離です。

にもかかわらず、ママチャリは無論の事として大勢のスポーツ系バイクが走っていたのは、それだけの魅力があったからに違いありません。

そんなワケで今回の旅一言で締めくくるとするならば・・・・「やっぱり武蔵野は凄い。来てよかった〜&楽しかったのだ〜」の一言ですね♪

オマケ情報

国分寺市には野川の源流以外にも、いくつかの有名な湧水ポイントがあります。特に真姿の池付近は圧巻ですよ。

真姿の池付近の湧水

地場の野菜を売っています(国分寺市の駅近なんですけど・・・)

これって水芭蕉では?

武蔵国分寺

時間がおありでしたら是非訪れてみてくださいね。


庶民チャリダー

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