今回は「前照灯」と「補助灯」の話。前照灯と補助灯の違いは?&JISC9502という規格のお話です。
つくば(つくば研究学園都市地区)の夜は暗いです。街灯の整備がいまひとつだから。街の中心地である駅の近くでさえも、夜道を歩く場合は懐中電灯を使う程です。道を照らすのは勿論、車や自転車に対して自己の存在をアピールする為ってのがあるのですが。
例えば夜でも明るい都会の人だったら、「サイクルライトは自身の存在をアピールするためのもの」で済むのかもしれませんが、つくばではそうは行かないです。自己アピールは無論の事、進行方向を十分な明るさで照らし出すものでなければ。
休日のサイクリングでは明るいウチに出発して明るいウチに帰ってくるようにしています。が、パンクなどのマシントラブルがあると、暗い中をライトを頼りに走らざるを得ない場合もあります。特に冬場はあっと言う間に暗くなりますからね〜。
勿論、チャリ通の時は明るい前照灯必須。
サイクルライトは3つ持っています。すべてLED方式。単三電池4本を使う3LEDのものは(以下、便宜上「あっかる〜いナショナルくん」と呼ぶ事にする)明るさはまずまずであるが、その分大きいし重たい。その他のものはそこそこ軽くてコンパクトだけれども、やはり明るさがイマイチ(以下、便宜上「猫の目くん」と呼ぶ事にする)。
いずれも購入したのは2008年の夏ごろ。LEDがどんどん高輝度化している今だったらもっと性能のよいものがあるのでは?という事でホームセンターの自転車売り場に行ってきました。
一口にサイクルライトと言っても様々な種類があり、一体全体どれを買えばよいのやら。そこで商品説明を読んでみることにした。すると、LEDライトのほとんどの製品には「これは補助灯であるから、必ず前照灯と一緒に使ってください」という注意書きがあるのです。それらは私が持っている製品の同等後継機種だったりするわけで。
という事は、自分が持っているコンパクトなサイズの「前照灯」(だと思っていた)は、今時の基準で言えば補助灯にしかならいのか?もし、そうだとしたのだったら、暗いのも当たり前だよね。
逆にこの注意書きのないものは、言い換えれば前照灯として使えるものは、どれもこれも電池が4本必要なかなり大きなものばかり。概してあっかる〜いナショナルくんよりも大きい。
とりわけキセノンライトはかなり明るいらしい。しかし、連続点灯では電池が17時間くらいしか持たないようだ。
う〜ん、どうしたものか?と悩んでいたら、単三電池1本しか使わないのに補助灯ではないものを発見。CATEYE HL-EL010。ちょっと値段は張るが、コンパクトだし前照灯なんだからと、まずはこれを購入。
そして電池が17時間しか持たないライトというのは、一体全体どの程度の明るさがあるのか?と興味を引かれたのでこちらも購入。(ノーブランドっぽいので詳しい紹介ができませんが)
帰り道にさっそく使ってみることにした。まずは1LEDの方。なるほど、確かに明るい。これだけの明るさがあれば、夜道でもなんとか前方の様子がわかる。
そしてキセノンの方。おお〜!これは確かにあっかる〜い!スポットでの明るさはあっかる〜いナショナルくんの方が上のように感じるが。でも広範囲に照らしてくれるので、そういう意味ではより走りやすい気がする。これだったらまぁ、飛ばすのは無理としてもまぁまぁの速度で走れる。さすがは大量の電力を食らうだけの事はある。
というわけでこれからは「補助灯(相当)」ではなく、れっきとした「前照灯」で走ることができるわけだ(?)
それにしても不思議。これまで使っていたものは「補助灯」である旨などどこにも記載がなかった。だから普通に「前照灯」だと思っていたわけで。もちろん購入した当時にも「補助灯」なるものはあった。例えばソーラー電池使用で点滅しかできないものなどには確かに「補助灯」である旨記載されていたから。でも自分が購入したものにはそんな「補助灯」の断り書きなどなかったハズなんだけどなぁ。
気になったので仕様やらマニュアルやらをダウンロードして調べてみた。まずは「あっかる〜いナショナル」くん。こちらは5時間までは前照灯として使えるとのこと。LEDなのに5時間とは・・・う〜む。ただ、ナショナルくんは確かに異様に明るいです。問題は電池寿命ですねぇ・・・
一方、1LEDの猫の目くん。取説によるとこちらもやはり30時間は前照灯として使えるようだ。ただし実際には点滅オンリーの補助灯で使う場合がほとんどでしたが。
そんなワケで、補助灯を前照灯と誤った認識で走っていたのではない事にホッと胸をなでおろしました。
でも・・・電池が5時間しか持たないナショナルくんはともかとして。猫の目くんは今時の「前照灯」と比較すると、補助灯と言われればそうだろうなぁと納得してしまう程度の明るさでしかない、という現実にも気づきました。猫の目くん、実際にはナショナルくんの補助灯としてしか使っていなかった(点滅モードのみで使用)わけで。
同じような性能を持った同じメーカーの1LEDである二つの製品。しかし昔は前照灯扱いだったのが、今は補助灯扱い。この違いは一体全体何に由来するんだろう???不思議に思ってネットで調べたら JISC 9502なるキーワードに出くわしました。
いろんな情報をまとめると、以前は自転車の前照灯は電球を前提に基準が作られていた。そこでLEDライトに対しての基準も設けようという事で、JISC 9502が策定(もしくは改定)されたようです。(詳しくはこのページからJISC 9502を検索してください)。で、その時期は2008年11月。
私がLEDサイクルライトを購入してからわずか数ヶ月後に規格が改定されたわけです。だから私が持っているものは、当時では補助灯扱いにはなっていなかったのかもしれませんね〜。
規格の方はざっと眺めてみた程度ですが、照度400cd(カンデラ)以上という数値で定義されていました。数値というのは目安に過ぎない場合もありますが、何はともあれ400cdという分かり易い区分ができた事は嬉しい限りです。
なんだか前照灯がイマイチ暗いよな〜?という素朴な疑問から始まった今回の調査。お蔭でいくつかの事が分かりました。
尚、キセノンランプで感じる明るさ、および、比較的長寿命(ナショナルくんのLEDとの比較でしかありませんが)の理由は未だにわかっていません。何か有益な情報があれば改めて紹介しますね。