霞ヶ浦湖岸探検隊

北浦

北浦は西浦(通称、霞ヶ浦)の東側に位置する湖で、面積は35.16km^2と、それ単独でも国内15番目の広さを誇る大きな湖です。東西方向の幅はさほどでもありませんが、南北に長く、それがこの広大な面積の理由となっています。

出発地点は神宮橋の鹿嶋市側(北浦左岸)。ここから北上して鉾田市にある巴川との分岐点へ。そこから左岸へ移動し、神宮橋の行方市側までとなります。

北浦左岸0キロメートル地点

地図

いきなり砂利道

砂利道が・・・

スタート地点では砂利道です。少し進んだところで舗装路になりますが、また砂利道。3キロ手前あたりからまた砂利道で、そんな状態が2キロ以上続きます。

延々と続く砂利道

そしてようやく舗装路になったと思ったら通行止め。仕方なく県道へ迂回。湖岸道に駐車している車を目印にして、またコースへと戻ります。

通行止め

なかなか見えない左岸のゴール、そして風

全体としては南から北へと進むコースですが、湖岸の地形は大きくうねっています。西へ東へと方向をこまめに変えながら進んでいきます。そんなこんなで結構な距離を走っているにも関わらず、そして南北に長いという地形的な理由から、いつまでたっても左岸のゴール地点は見えません。

北浦の眺め

西浦を初めて見た時は「広いなぁ」と、ただただ唖然としたものです。一方、北浦は「長いなぁ」というのが率直な感想です。湖の東西方向の対岸はいつでも見る事ができ、「大きな」湖という実感はありませんでした。しかし、南北の長さが半端ではないため、北側のエンドが全く見えません(南岸から北上しています)。

そしてこの日は結構強めの西北西の風。全体としては横風プラス微妙な向かい風という悪条件。

「一体全体、いつになったら左岸のゴールに到達することやら」。

以前の私だったらあせって無理にペダルを漕ぎ続けようと思ったことでしょう。でも、今はそれなりの経験があります。無理をすればその分自分の体に返ってくる事を知っています。加えて言えば以前よりは確実に体力は落ちているわけで。

あせる気持ちを抑えつつ、横風&向かい風の時にはぐっとこらえてギアを下げて速度を落とし、そして追い風となる方向では風の力を借りて、しかし、けして力をかけたりせずに無理なく進んで行きました。

行き止まり

やがてガードレールによる行き止まりの箇所に遭遇。

鹿行大橋

このガードレールの先は鹿行(ろっこう)大橋。ここが“酷道”であるため、安全上の理由で歩行者や自転車が通行できなくしているのであろうと思われます。

なぜここが“酷道”なのかといいますと、鹿行大橋上では車の対面通行ができないのです。橋の上は一車線だけ。反対方向からの車が途切れるのを待って出発しなければなりません。そして途中で反対方向からの車があれば、どちらかが譲って橋の上にある待避所(若干幅が広い程度)で待つしかありません。

実際のところ、橋の鉾田側で待っていた車はいつまでたっても進行できず。行方(なめがた)側から来る車列が途切れるのを待っていました。こんな悪条件であるにも係わらず、橋の袂に信号もなく。もし、歩行者や自転車の横断が可能だとしたら、それは危険極まりない事であろう事は容易に想像がつきました。だからガードレールでブロックしているのだろうなと。

更に、この国道354線を強引に横断したとしても、その先の湖岸道は工事の為通行不可(鹿行大橋のすぐ横に新しい橋を建設している模様)。

いかに自由が効く自転車と言えども、私は素直にここで迂回する事にしました。因みに近くにはセイコーマートがあり、今回のコースの中では貴重な補給ポイントになりました。

コブハクチョウの群れ

気持ちを新たにして出発。なかなか見えない左岸のゴール地点(今日の折り返し地点)。あせる気持ちを抑えつつ、我慢の走行が続いていました。が、それも間もなく終わりを告げるはずです。

そんなこんなで、いつもと同じ、いや、いつも以上のヘロヘロ走行をしていた時、コブハクチョウの群れを発見しました。写真には写っていませんが、すぐ側に釣り人がいます。2〜3羽はその釣り人の近くから離れず、じ〜っと釣り人の方を見続けていました。

コブハクチョウの群れ

実はこのコブハクチョウ、元々日本、というかアジアにはいない種類なのです。この近辺では渡り鳥ではなく、留鳥になっています。なんらかの形で人が介在しているせいか、とても人懐こいのが特徴です。

そんな事を考えながらコブハクチョウを眺めていると、釣り人が「ああ、かかった。困った、困った」と、その息子さんらしき人にしきりに叫んでいます。大きな鯉が釣り針にかかっていました?でも、一体全体、なぜ、魚が針にかかったのに「困る」。鯉という大物なのに???

お父さんの叫び声を聞いてタモを持って走り回る子供。でも、その釣り人は、最後は糸を強く引っ張ってうまいことバラしていました。

釣り人の方を改めて見れば、リールもない細めの竹竿。想像するに、鯉のような大物ではなくて、もっと小型の魚を狙っていたんでしょうね。その釣り人は、近くにいるコブハクチョウに糸がからまらないように、複雑な&器用な竿捌きをしながら、最後は上手にバラしていました。

こんな大騒動の中でもコブハクチョウは全く動じる事もなく、ただただジーッと釣り人の側に居続けました。コブハクチョウはきっと、この釣り人が優しい人だと知っていたのでしょうね。だからこそ、騒動の中でもけしてその側を離れなかったのだと。

いよいよ左岸のゴール、そして右岸の始まり

そうこうしているうちにどうにか左岸のゴール地点です。走行距離27.5キロ。巴川の橋を渡っていよいよ右岸の始まりです。

左岸ゴール地点

ゴールまであと27キロくらいかぁ、なんて思っていたら甘かった。最初に現れたキロポストの表示は35キロ。どうやら右岸の方が左岸よりもより曲がりくねっているようですね。

北浦を今度は反対方向から見ながら南下を続けます。

北浦右岸からの眺め。白鳥が見える

白浜ウォーキングセンター

鹿行大橋を過ぎ、走り続けること暫し。北浦大橋を過ぎてちょっと進むと、こんな看板が。

白浜ウォーキングセンター

建物の側にベンチが見えたので、ここに立ち寄って休憩する事にしました。自販機で水分補給&トイレも拝借。補給やら休憩ポイントが少ない北浦の湖岸道では貴重な存在です。

ベンチで休憩中だったクロスバイク乗りの女性に挨拶すると、「今日はどこを走っているのか?」と聞かれました。

「昨日、つくばから利根川を下って神栖で一泊して、今日は・・・・」と言いかけている途中で、その女性は目を白黒させてました。つくばから神栖という距離が彼女にとっては信じられないくらい遠い距離と感じたのでしょうか?(つくばや土浦あたりでこんな話をしても、誰も驚かないような距離なんですけどね。。。)

「・・・それで今日は鰐川と北浦を一周しています。」と話すと、その女性は納得したように話しだしました。「膝のところが真っ赤っかだから、どれだけの距離を走ったのか気になっていて」と。

言われてみて初めて自分の膝の辺りを見ますと・・・わちゃー、最早日焼けを通り越して火傷状態!顔と腕は以前にたっぷり日焼けしましたので、既に皮が剥けています。しかし、今年短パンになったのは昨日が初めて。そんなワケで真っ白な肌が火傷したみたいに赤くなっています。

「昨日も今日も日焼け止めたっぷり塗ってきたんですけど。。。汗で流れちゃったのかな〜?」後日分かった事ですが、日焼け止めってこまめに塗り直さないと効果がないみたいです。

潮来マリーナ

今日のゴールを目指して南下する事しばし。湖岸道は突然行き止まりに。「この行き止まりの先には何があるのだろう?」気になったので迂回してすぐに湖岸道の方へ戻ってみると、そこにはマリーナがありました。

陸に“保管”されているたくさんのボート(海の上じゃないから停泊でも係留でもないだろうし)。しかし、湖を走っている船は一隻もいませんでした。休日にはボードやらウォーターバイクで賑わう西浦とは大違い。この差は周辺人口の違いなのかもね?

保管中のボート

いよいよゴール

右岸をひた走ること暫し。ゴール地点である神宮橋が見えてきました。ゴールまであとわずか。

遠くに神宮橋が見える

しかし、湖岸道はそこからまたぐるっと大回り。神宮橋へはなかなか辿り着くことができません。夕方になって強い南風=向かい風へと変化。足はもうかなり疲れていて、ヘロヘロ・ヘロヘロと進みます。

そしてようやく右岸0メートル地点に到着です。

北浦右岸0キロメートル

感想

総延長63キロ程度の北浦湖岸。走りごたえもなかなかのものがありました。一部砂利道がありましたが、それを除けば路面状態もよく、とても走りやすいサイクリングロードでした。湖岸に限って言えば。ええ、“湖岸”は。

しかし、北浦に流れ込む川との合流地点では川の方に橋がかかっているため、そういった場所では湖岸を離れて川方向への迂回の必要が生じます。でも、その迂回する場所のほとんどが砂利道なのです。

迂回路の砂利道

こういった状況では、ロードやなどのデリケートな自転車にとっては、およそ快適なサイクリングロードとは言い難いでしょう。実際のところ、湖岸道でみかけたスポーツ系バイクはクロスが2台、MTBが2台だけでした。ロードも1台だけ見かけましたが湖岸ではありませんでした。ママチャリもほとんど見かけませんでした。GW期間中の土曜日&好天であるにも関わらず、です。

考えてみれば比較的頑丈なママチャリと言えども、砂利道を好んで走る人はいませんよねぇ。乗り心地が悪いわけで。

単に走りを追求するのであれば、湖岸の周りの県道を走る方がよいかと。実際のところ、通行止め故、湖岸を離れて迂回した場所では、巡航速度が5キロくらいアップしましたからね(不本意ながら・・・)。

逆に言えば、私のようにそこそこ頑丈な自転車でゆったりポタリングする人(少数派だと自覚しています)にとっては天国でした♪何しろ自転車ほとんどいないから、ちょっと無理してママチャリを抜かす必要も、後ろから迫り来るロードを気にしながら走る必要もなかったので。

そんな感想を抱きながら、まずはこれにて北浦コンプリート!


霞ヶ浦湖岸探検隊

庶民チャリダー

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