霞ヶ浦湖岸探検隊

常陸利根川・外浪逆浦・北利根川右岸

河川や湖沼の名称を厳密に伝えようとすると難しい事がたくさんあります。しかし、こういった話は別の機会に譲る事としまして・・・ここでは、今回ご案内する常陸利根川と外浪逆浦と北利根川の大雑把な区分けを地図で補足します。因みに河川法上の分類ではいずれも常陸利根川となります。

地図

そして、これが霞ヶ浦(けして西浦ではなく)湖岸一周最後の旅となります。

常陸利根川の右岸のその前に・・・左岸

常陸利根川の左岸を走ったのは実は偶然の出来事でした。銚子からつくばへ帰ってくる途中、利根川の堤防沿いを走れる道(特に舗装路)はないだろうか?と、利根川をつかず離れず探している最中に見つけたのです。この時は利根川だと思いこんでいたのですが、しばらく走ってそれが常陸利根川(の左岸)だと気づきました。

ですから、常陸利根川左岸の最初から(利根川との合流地点から)走っていたわけではありません。ほんの数百メートルですが、合流地点よりは上流寄りでした。そこで今回は、十二分に余裕を持って(5キロくらい)、まずは左岸を以前とは逆方向に進みながらスタート地点を目指しました。

常陸利根川左岸

水門

ゴール地点は常陸利根川と利根川の合流地点手前の水門です。

これにて常陸利根川の左岸コンプリートです。

常陸利根川右岸

右岸は砂利道

一見、一つの橋に見えるうちの「常陸川大橋」の部分だけを渡ります。

この橋はとっても怖かったです。片側に歩道はありますが、人が一人通れるだけの幅しかないため、車両である自転車に乗っている私は必然的に車道を走ります。しかも、その車道も幅が狭い上に交通量もそこそこあるので、車が自転車を追い越すのも難しいのです。

車列を先に行かせ、フロントディレーラーをセンターに変更し、全速力でペダルを漕ぎました。わずかな距離ではありましたが、気がつけば時速は軽く30キロを越えておりました。人間、命の危険を感じると結構頑張れるものなのだなぁ(笑)。さてさて、そんな大変な思いをしながら、どうにかこうにか常陸利根川と利根川の間にある一般道へと辿り着きました。

ちょっとの区間一般道を走ると、分岐点が現れます。写真左の道は利根川CR、中央が一般道、そして常陸利根川の湖岸を走るためには右側の道へと移動します。

分岐点

スタート地点では砂利道です。霞ヶ浦全体に未舗装の湖岸道はいくつかありましたが、ここが他と違っているのは、湖岸側の道を走ったとしてもそこはやっぱり砂利道だという事です。そんな訳で一切の迷いなく、湖岸道を走る事にしました。

湖岸道より対岸の神栖工業地帯を臨む

湖岸道を走るその意味は?

湖岸道も、堤防脇の道も未舗装。どっちを走っても同じでしょ?と思うかもしれませんが。今回の旅ではその違いに気づきました。

脇道は釣り目的や農作業などで比較的多くの車が走ります。だから、未舗装と言えどもそこそこ道が締まった状態です。一方、堤防の上にある湖岸道を走る車はかなり熱の入った釣り人のものだけ。そんなワケで角張った砂利がゴロゴロしています。砂利を踏む度にハンドルがとられて、走りにくいったらありゃしない。

でも、湖岸(堤防上の道)を走らない限り、実に大勢の人々が河川・湖沼という存在を利用し、そして楽しんでいるのかという事は分からないんだなぁと感じました。

脇道からは、河川上の様子が全く見えません。ただただ、堤防が見えるだけでした。

脇道からの眺め

一方、次の湖岸道で撮影した写真では、釣り人、ウォーターバイク、ウェークボードと、実に大勢の人々がこの川を利用し、そして楽しんでいる事がよくわかります。

川で遊びにこうじる人々

常陸利根川←→利根川の水路

やがて常陸利根川と利根川とを結ぶ水路が現れました。この水路に沿って迂回します。すると、利根川CRに出くわしました。この辺りは利根川と常陸利根川が最も接近する場所です。

左の道は利根川CR

水路を越えて右岸道に戻りますと、砂利道からダートに変わっていました。

ダート

GW期間中は晴天続きだった事から、ダートと言えどもまずまずの走り心地だったのは幸いでした。仮にこれが前日まで雨続きだったとしたら、道がぬかるんで走れなかったかも?

とは言え、そこはダート。フロントセンター、リア3〜4速くらいにギアを落としての走行が続きます。舗装路の平地じゃまずこんなギアは使いません。私の弱りきった足に、ちょっとした坂道走行くらいの負荷がかかります。

気がつけば千葉県

ふと気がつけば、いつの間にか茨城県から千葉県へと移動していました。常陸(ひたち)の国と言えばそれは現在の茨城県の事ですが、常陸利根川の一部は千葉県に属しています。

千葉県道44号線

そうこうしているうちに、常陸利根川の右岸(プラスちょっとだけ左岸)の旅は終わりを告げました。

利根川右岸0キロメートル

これにて常陸利根川コンプリートです。

外浪逆浦右岸

外浪逆浦(そとなさかうら)は、西浦が北利根川となって&北浦が鰐川となって集まる場所です。その場所だけを見ても、ひとつの立派な「湖」と呼べるくらいに広いところです。こちらも未舗装路。

また砂利道

西浦と北浦の水が一気に会する、とてもとても広い「水たまり」を眺めながらの走行です。

外浪逆浦右岸3.75キロメートル地点

これもサイクリングロード・・・かな?

湖岸道で車止めを発見。つまりここから先は、車の往来を気にする事なく、人も自転車も安心して(?)走行する事ができます。ある意味、サイクリングロードですよね。

こんなダートにも車止めが

いや、まぁ。車止めがあってもなくても、ここを歩いたり自転車で走る人は滅多にいないでしょうけど(笑)。

初夏の香りが

関東地方の今年の春は、とても異様な状態が続きました。4月初頭に咲いたソメイヨシノが中旬まで楽しめる、4月中旬に雪が降る、いつまで経っても冬物のコートが手放せない、等々。

そんなワケで、例年のように春らしい気候を感じる事が難しい年でありました。でも、そんな異常な天候もGWに入ってようやく終わりを告げて例年通りになったようです。例えばタンポポ。一部は綿帽子へと変化しており。

タンポポ

例年に比べてあまりにもあまりにも忙しかった今年の2月、3月、4月。気持ちに余裕がなかったせいか、こういった季節の変化を見えてはいるけど見ていない、見てはいるけどそれを感じることができなかったのかもしれません。

でも、そういったものから開放された今、ようやく自分の気持ちで感じる事ができるようになったようです。気がつけば、いつの間にか春を通り越して初夏へとその季節は移り変わっているんだね〜♪

そんな風に感じ取れる自分に気づいた事がなんだか嬉しくなって、タンポポと辺りの景色を堪能し、そして空をしばらく見上げていました。

空はどこまでもどこまでも青かった。そしてダートはいつまでもいつまでも続いていた。

どこまでも広がる青空とダート

これにて外浪逆浦コンプリート

そして、ようやく砂利道やダート走行ともお別れができそうです。湖岸道は待望の舗装路へと変化していました。

待望の舗装路が!

別にダートや砂利道が嫌なわけじゃないんです。ただ、今日予定している走行距離は100キロ弱。前日、前々日を合わせると3日間で290キロ程度走る見込み。足もかなり疲れています。加えて、砂利道&ダートの低速走行で予定よりも時間が押していたんですね。

時間的な遅れを取り戻せる期待いっぱいに、外浪逆浦右岸もコンプリートです。

北利根川右岸0キロメートル地点

これでリアル霞ヶ浦1周の旅も、北利根川右岸を残すのみとなりました。

北利根川右岸

我が栄光のゴールを祝福してくれるように、突然舗装路へと変化した湖岸道。リアル霞ヶ浦湖岸道一周のゴールに向け、これからは赤い絨毯、じゃなかった、舗装路を走り続けて、いざ、ゴールへ。

GWまっ只中

北利根川を走り出してすぐに、東関東自動車道の橋である常陸利根川橋が見えます。道路の様子は下からはよくわかりませんでしたが、背の高いトラックや大型観光バスの動きを見ていると、上りは順調に流れているのに対し、下りは渋滞だった事がよくわかります。

今日は5月2日。GW真っ只中の快晴・微風。絶好のサイクリング日和です。

常陸利根川橋

さぁ、気を取り直して、いざ、ゴールへ。ゴールへと続く舗装路へ・・・あれ?

ナンダカワカラナイケドミドリイロノモノガ・・・・シカモ、ミドリイロノモノノセガ、タカクナッテイル・・・

今度は草むら・・・

最大の試練

うーん、最早砂利道とかダートとか言うレベルではなく・・・ただの草茫々の獣道でしょうが〜!

なんと言う事。此処から先は我が栄光のゴールに向けて赤い絨毯が敷かれていると思っていたのに。いや、赤い絨毯とは思っていないか。でも、せめて舗装路だと思っていたのになぁ〜・・・T_T

まぁ、でも。今日は最初から砂利道&ダートしか走っていないから、こんな道も誤差の範囲内かな?

とにかく、湖岸道を走ろうと思ったら他に選択肢はないわけで。そして幸いな事に、草茫々のこの湖岸道にも、わずからなが轍の跡があります。今日は砂利道もダートも走ってこれたのだから、きっとこの獣道も走れるハズ。そう自分を勇気づけて出発です。

勇気づけて出発です。でもなぁ・・・湖岸道最後の最後の旅がこれかぁ???なんだか、とほほだなぁ〜・・・T_T

おっ?そこそこ走れるぞ♪

そんな泣き言を言いながら走り出したのですが、これが意外と走れます。草茫々とは言えど、わずかながら残っている轍に沿って走ればなんとかなりました。

ただ、ギアはフロントセンターのリア2速。こんなのヒルクライム以外じゃ使いません。さすがに走りにくいね〜。

行政区が違うんです

それにしても不思議。先程のわずか一瞬の舗装路はなんだったんだろう?最初の予算は下りたけど、財政難でその後の工事がストップしたままとかいうやつだろうか?

後に地図で確認して分かった事ですが、わずかな舗装路の区間は茨城県、草茫々の区間は千葉県に属していたのでした。行政区というか、管理する県が違うのであれば十分に考えられるよね〜。

そんな事を考えながら、ひぃこら言いながら草茫々の湖岸道を走っている時、視界左側にゆったりと走るママチャリの姿が目に入ってきました。

草むらの中を必死で進む

あ?この脇道を走れば楽だよなぁ〜。それに気付かず湖岸道を走っておきながら、「舗装状況が悪い」なんて、とんでもない言いがかりだよなぁ〜。アセ、アセA(^_^;)

でも、この草茫々の堤防の上から降りるのはかなり危険です。そして困った事には、草茫々の道を走るのが、かな〜り楽しくなってきました。

そしてなんといっても!

いよいよ最後の最後になって湖岸道を離れて走る事に、一体全体どういう意味が?仮にそれでゴールしたとしても、それで本当にゴールしたと言えるのか?

だから、例え自転車を押す事態になっても、必ず湖岸道を進みながらゴールしてやる、と、自身の心に強く誓いました。

水郷の街

草茫々の道を走る事しばし。やがて草の高さも低くなり、かなり走りやすくなりました。

4キロ付近。対岸は水郷潮来(茨城県)

と、川で不思議な光景を発見。4隻の船が集まって何かを待っているのです。

集まっている船

これはもしや?と思い、自転車を止めて見学する事にしました。予想通り、北利根川側の水門が開けられて、船は移動を開始。

水路側にはもうひとつ水門があり、こちらは閉じられたまま。そして4隻の船が全て集まったところで、北利根川側の水門が閉じられます。この時点では、水門と水門に挟まれたこの閉塞区間の水面の高さは北利根川と同じになっています。

閉塞区間に集まった船

次に水路側の水門が開けられ、やがてこの閉塞区間と水路側の水面の高さは同じになりました。これでいよいよ船は水路に向けて出発です。

水路へと出発する船

高さの異なる川と運河を船で移動するこういった光景は、テレビで何度か見た事があります。しかし、いずれも外国の観光汽船。遠い異国の話だと思っていました。それがこんなにも間近で見られるなんて。やっぱり自転車は、ゆっくりのんびり、辺りをキョロキョロしながら走るものだね〜♪

さて、船の水門通過見物も終わり、再びゴールへと向けて出発です。幸いな事にこの先にも車止めがありました。ここから先もサイクリングロード(?)です。舗装はされていないけど・・・

北利根川オフロード(?)CR

潮来大橋を越えて

そんなこんなで潮来大橋へ到着。ここまでくればあとは北利根川を残すのみ。いよいよゴールも間近です。

潮来大橋。対岸には潮来のホテル街が。

千葉県香取市に別れを告げ、ここから先は茨城県。そして湖岸道は舗装路へと変化していました。舗装されてからあまり時間が経っていないようで、とても走りやすい、綺麗な路面でした。

真新しいCR

巡航速度は25キロと、これまでの未舗装路の倍。ゴールに向けて順調に自転車を走らせます。

そしてゴール

北利根橋を過ぎ、砂利道を少し走ったところで、いよいよ本日のゴール地点を迎えました。

西浦と北利根川の境界

西浦右岸0キロメートル地点

これにて北利根側、加えて、厳密な意味での常陸利根川(常陸利根川、外浪逆浦、北利根川)もコンプリートです。

ついに湖岸一周コンプリート

そしてついに、西浦、北利根川、外浪逆浦、鰐川、北浦、常陸利根川の全てからなる、リアル霞ヶ浦湖岸一周コンプリートです。

総延長約250キロと、日本一の長さを誇る湖岸一周の旅がようやく終わを告げました。

霞ヶ浦湖岸探検、これにて完結!


霞ヶ浦湖岸探検隊

庶民チャリダー

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