岬巡りの自転車は走る 〜 茨城北部編

茨城北部〜いわきの海岸通り

※この記事は2010年8月の出来事を記載しています。

そうだ!海に行こう♪

夏は暑いものと相場は決まっている。しかし、平成22年(西暦2010年)梅雨明け以降、つくばの夏は異様に暑かった。連日猛暑日か猛暑日に限りなく近い真夏日が続いている。つくばに限らず、全国的に異常としか言い様のない暑さだった。例えば札幌で10年ぶりに猛暑日を記録したりとか。

昨年の夏は涼を求めて筑波山北部の尾根伝いを走ったが、今年はその程度では気休めにもならない。標高400メートル程度の峠に登るのも、あまりの暑さに何度も休憩を余儀なくされるという始末。標高500メートルを越えた場所に暑さのためフラフラになって登っても、涼しいどころかただただ暑いばかり。

これでは近場の山へ行っても涼は求められない。かと言って日光などの有名観光地は勿論の事、近隣の人以外にはあまり知られていないようなちょいとした観光地であっても、お盆のこの時期は宿泊場所の確保も困難。では、一体全体、どこへ行けば涼しさを味わえるのか?

・・・そうだ、海へ行こう!茨城中央部〜北部の海岸線沿いは涼しかった。県北やもっと北だったら更に涼しいハズ。そんなワケで、こんな時期でも泊まれる可能性のあるビジネスホテルを探しまくって、どうにか日程が決まりました。

今回のコース

日立駅前を出発

前日に日立駅前のホテルに到着して一泊。

つくば〜日立駅間は90キロと近すぎず遠すぎずと程良い距離。早起きして自走する気満々でした。が、しかし。その日は台風が東北に上陸する事が確実。夕方の日立地方は強風と横殴りの雨の予想。やむを得ず土浦から日立まで電車輪行しました。

日立駅周辺までは仕事で何度も来ているので、ここまで(日立より南側)はなんとなく知っている世界。でも、ここから北は全く未知の世界です。それ故に、気持ちはワクワク。

土地勘も何もないので、日立駅前を北の方へ&海の方へ向けて適当に出発。海岸沿いの道(国道6号線バイパス)に出くわしました。歩道がないのでほとんど写真を撮れなかったのですが、パーキングスペースを見つけてなんとか景色見学&写真撮影できました。

日立の海。奥に見えるのは鵜の岬

久しぶりの夏日

海沿いの道はとにかく涼しいのが嬉しかった。涼しい理由はいくつかあります。まずは海岸通りという事、そして、つくばよりは北に位置する事。しかしなんと言っても最大の理由は台風が通過した影響で、曇り空だった事です。この日は確か東京でも連日の猛暑日とは打って変わって夏日でした。

青い空とも蒼い海とも無縁でしたが、連日の猛暑にうんざりとしていた身としては、この涼しさはとても嬉しかった。

鵜の岬

国道6号線バイパスを北上する事しばし。信号のある交差点で多数の車が右折車線で信号待ちをしているのに気づきました。お盆のこの時期に多数の車が右折しているという事は、海沿いへの道なのだろうと直感。右折待ちをしている車列の後を付いて行く事にしました。

とは言ってもこ案内板などは見当たらず。そこで、信号のある交差点では歩道に自転車を止めて、総体的に車がどちらへ行くのかを確認しながら、後をついていく事にしました。そんなこんなで岬らしき場所に到着。後に地図で確認すると「鵜の岬」という場所のようです。

鵜の岬(南側から撮影)

ただ、海を展望できるような場所の案内板などは見当たらず。気がつけば岬の内側を通り過ぎていました。

関東平野の終わり

道なりに走っていると国道6号線へ。これと言った案内板もなかったものですから、そのまま北へ向かってひた走りました。途中で「高萩市」の案内板を確認。いつの間にか日立市からお隣の高萩市へ移動していたようです。

ふと辺りの景色を眺めますと、進行方向右側にはちらっとだけ海が垣間見え、左には山地が連なっていました。「ああ、そうか。もはやここは関東平野の終わりなのだなぁ」と実感。思わず山側の写真を撮りました。

山並みが広がる風景(をパチンコ店の駐車場で撮影・・・)

野口雨情ゆかりの地

国道6号線を首都圏の人は水戸街道と呼んでいますが、この辺りでは「陸前浜街道」と言うようです。やがて高萩市から北茨城市へ。何と言う事はなしに信号を見やると「雨情記念館北」という名前でした。という事は、この辺りには野口雨情ゆかりの地なのか?

海側にちょっとした公園のようなものを見つけたので、休憩する事に。なにかの像が立っています。案内板によりますと、「通りゃんせの像」と呼ばれているのだそうです。

通りゃんせの像

案内板(クリックすると拡大)

なるほど、野口雨情に縁のある土地のようですね。

松の生い茂る岩。海鵜の棲み家も。

五浦海岸と岡倉天心

しばしの休憩の後、陸前浜街道を北へ向かって出発。やがて大きな看板が目に入りました。(この先を右折すると)「茨城大学五浦美術文化研究所/茨城県天心記念五浦美術館」。日本の美術史には全く疎い私ですが、五浦(いつうら、もしくは、いづら)と言う地名と岡倉天心という名前は聞いた事があります。

その方向が岬へと向かっている事もあり、国道をそれてそちらの方へ(岬の方へ)進みました。予想通りと言いますか当たり前と言いますか、岬へと向かう道は登り。そして、この先はいよいよ関東の終わり&東北の入り口なのだなぁと思い、思わず写真を撮りました。

五浦へと続く道

関東の北の外れ

関東に別れを告げて岬へと登ります。

茨城大学五浦美術文化研究所と六角堂

やがて「六角堂」の案内板が。案内板があるくらいだから観光名所なのだろうと思って自転車を止めると、その場所こそが茨城大学五浦美術文化研究所だったのでした。入場料を払って見学する事に。順路に沿って見学しながら歩いて行くと、屋根が六角形の小さな建物が海のすぐ側に建っていました。

六角堂

六角堂のすぐ側からの眺めは絶景でした。

六角堂すぐ側から見た景色

海の水は底がはっきりと見える程透き通っていて、思わず飛び込んでしまいたい気持ちでいっぱい。しかし一方、誰も泳げないからこそ、ここの海は綺麗なのだなぁと思い直しました。この場所は岡倉天心と六角堂が有名なようですが、私はそこからの眺めにただただ感動するばかり。

そう言えばここ五浦をを訪れた人の中には、なんら予備知識のない人も多かったように思います。案内板を見て近くの公園やら美術館に行ってみようなどと相談していた人々、この近くに名所旧跡はないですか?と聞いていた人達。かく言う私も同様です。岡倉天心と六角堂の名前は聞いた事がありますが、ここに立ち寄ったのはあくまでも海沿いを自転車で走るついででしかありませんでした。

旅の醍醐味というのはこういう事なんだなぁ、と、改めて実感。その場所を訪れた者のみにしか味わえない感動。特にその場所がなんら予備知識もなく立ち寄った場所であった場合には尚更です。

いつまでもいつまでもこの場所に居たいなぁ。せめて日が暮れるまで。いや、日が暮れたら暮れたで、ここから眺める星空はどんなに綺麗な事だろう?しかし残念な事に今日の宿はもっと先にあります。後ろ髪を引かれる思いでようやく出発しました。

そしていわきへ

ダウンヒルを楽しみながら海沿いの道を下って行きます。途中でごく短い隧道(トンネル)を通り過ぎました。やがて陸前浜街道へと合流。そのまま北へと進みます。

すると進行方向右手に砂浜が広がっていました。

 どこかの海水浴場

海の家らしき建物の屋根には、「なこそ」と書かれていました。「そうか。ここは、なこそ、という地名なのだなぁ。ん?なこそ?どこかで聞いた事があるような・・・なこそ???・・・勿来!」。そうです。いつの間にか福島県いわき市勿来に到着していたのでした。

もし仮に陸前浜街道(国道6号線)を走っていれば、(これより)福島県(あるいはいわき市)との案内板があったのかもしれませんが、私は海沿いの一般道を走っていたので、自分が県境を越えていた事に気づいていなかったのでした。「もしかすると、さっきくぐった隧道が県境だったのかもなぁ?」などと勝手な想像を巡らせながら、ちょっとした感動です。

「ああ、とうとう北関東から、南東北へ移動して来たのだなぁ」、と。

 勿来の海水浴場

これにて北茨城の海沿いコース完了

日立市中央部を出発した今回の旅ですが、あちこち見学した割には意外とあっさり福島県に到達してしまいました。まぁ、距離を考えれば当たり前なんですけどね。

そんなこんなで北茨城の海沿い見学はこれにてお終い。続きは、いわき編で。


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庶民チャリダー

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